偏差値ふぉーてぃー

教科書捨ててブログしてる偏差値40台の高校に通う高校生のブログ。

近い将来、すべてが仮想現実になる?『VRビジネスの衝撃』

本書は、VRというものがどのような状況にあり、これまでどのような道をたどって技術革新が行われてきたか、そして今後VRはどのような発展を遂げていくのかという予測が語られています。

また、ジャーナリストであちながら、VRに魅了され、VRに特化したインキュベーションプログラムを行う「Tokyo VR Startups」を立ち上げるなど、VRの最前線に居る、新清士氏だからこそ書ける内容になっています。

まさに、VR元年の2016年において読んでおくべき本でしょう。

欧米と日本のVRビジネスに対する認識

この本で注目すべきところは下記の文です。この文により様々な議論が展開されていきます。

欧米のVRビジネスが「現実世界と実質的には同じ空間を人間のまわりに作り出す」ことを目指しているのに対し、日本は「キャラクターなどがいきいきと存在する仮想世界を作り出す」ことに注意が向けられていることが多いのです。

あまりVRについて詳しい人でなくても、多少コンピューターが好きな人なら思い当たる節があるかもしれません。筆者も影響を受けたものの一つとして、初音ミクと握手するVRデモ「ミクミク握手(MikumikuAkushu)」を挙げています。

確かに、現在の一般的な認識としてはそのような感じがしますし、実際のところ私もVRと言われたらそういうものを思い浮かべます。しかし、本書籍を読めば、それはある意味普通の認識であり、それだけではないということが良くわかります。

様々な視点でVRの未来、将来について考えられている良書ですが、その中でも興味深かったものをいくつかピックアップしてみます。

変わる価値体験の姿

ヘッドマウントディスプレイのVRで音楽ライブや海外旅行に気軽に出かけることができるようになると、今まで大きな利益を生み出してき たライブビジネスや旅行業界に求められる価値も変わっていくでしょう。

日本ではキャラクター、欧米では最初にゲーム市場で注目を集めたVRですが本書を読み進めるとこういう未来が待っていることが良く分かります。これは、業界関係者だけが把握するだけでは済まされずあらゆるコンテンツ制作者が目を配らなければならないものです。もしかしたら、こうしたブログもVRやARを活用した情報の表示方法が普通になったりする可能性も十分あります。

また、体験価値が下がれば産業の在り方にとどまらず自分の生き方にも影響が出てきそうです。ストリートビューが登場した程度では、価値体験は変わりませんでしたが没入感を重視したVRが一家一台ともなれば、暇な時間に海外旅行も夢ではありません。

VRはエンタメだけじゃない

チルトブラシという、3D空間に絵を描くことができるアプリを例にとって下記のような説明をしています。

服飾 デザイナーがコンセプトを練るのに、VR空間で最初から3Dのイメージをデザイン画のように描くことも可能になります。

没入感はエンタメ要素に役立つだけではないということですね。

簡単に言ってしまえば、あらゆることへの可能性をVRは秘めているということです。デザイナーの役に立つ、または建築の役に立つ仕組みなどを作ることも可能で、あらゆる産業に影響を与えることを示しています。

こうなれば、VRを利用した仕組みづくりのためのサービスも次々と立ち上がりますし...というか、どうやらすでに関連企業が次々と登場している状況のようです。

すべてにおいて革命的

ここまで読んでみると思うのは、これまでキーボードからタッチスクリーンへ、ユーザーインターフェイスの刷新が行われたり、スマホアプリ市場というプラットフォームが誕生したりしましたが、このような革命をすべてひっくり返そうとしているのがVRなのだと感じます。

本書でも書かれていますが、プラットフォームでもありユーザーインターフェイスでもあるから可能なのでしょう。

まさにこの言葉がそう言わせてくれます。

VRの最終目標は、視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚など人間の五感や、平衡感覚などさまざまな感覚に働きかけて、「現実世界と実質的には同じ空間」を作り出すことにあります。