お気に入りボタンが「星」から「ハート」に変わったぐらいで感情が─とか言うなよ
先日、ツイッターがお気に入りボタンを星からハートへ変更したことを公式が発表し話題になりました。早速、ネットでは星とツイッターどちらがいいかという話で持ち切りのようですが、少し斜に構えて冷静に考えてみます。
TwitterとVineの上にハートが登場です。これまでの星☆アイコンから、いろいろな感情を表すことができるハート♡アイコンに変更しました。 pic.twitter.com/i7gZ5lyHGX
— TwitterJP (@TwitterJP) 2015, 11月 3
まず、なぜこの星とハートという記号に対しての論争がここまで熱くなるのかという謎が湧いてきます。これは、インターネット上のコミュニケーションが長い活字から言葉がワンセンテンス化していき更にはボタン一つに完結しているというところが大きな原因となったからです。
論争をするのは疲れるので違う話をすると、ボタンによる主張がコミュニケーションというふうに現代では言えるようになってきたのかもしれません。しかし、ボタンひとつで自分を主張し感情を揺さぶられるようになった今では人のコミュニケーション能力に大きな変化が見られ始めています。
ツイッターや様々なソーシャルネットワークサービスによって、文を作りこんで人とコミュニケーションを取ることはなくなり文節ごとのように短い言葉が羅列するようになってきました。なぜ、ここまで短い言葉が好まれるというのかといえば独特のコミュニケーションのスピード感に感情を乗せて言葉を伝えなければならないからでしょう。
かつての手紙というものは、大変スピードが遅くそれまでに思考する時間がありました。しかし、利便性とスピード感によって煽られてしまう現代において記号や略語でどこまでほどほどの返事が出来るかということが大きなポイントになってきています。
よく思考され、意図を持った感情というものが失われつつある現在において感情を記号や一つのワードに押し込めることが必須になってきているのです。
しかし、大きな問題なのがこの記号や一つのワードで表現すること以外に考えられなくなってしまったというところに問題があります。であれば、普通にメンションを飛ばして「こう思いました。」と言えばいいじゃないかというふうに思うわけです。そもそも、現実世界でいちいち記号的にに「いいね!」と会話する人はいないでしょう。
ツイッターの公式アカウントには「複数の感情を表現出来ないではないか」というふうに指摘する声が寄せられています。そもそも、ツイッターなどのサービスではどのような感情かをその人に押し付けているだけで相手が推し量っても限界があります。そもそもこの時点でちゃんとしたコミュニケーションは成立していないのですよ。
僕らにとって重要な事は、一つの仕様変更や記号だけによってコミュニケーションが振り回されないようにするということが大切です。別に議論をしろと言っているわけでもなく、現実もネットもそれほど変わらないのだから無表情でボタンを押すより感情を込めて文字を入力したほうがたとえネットのコミュニケーションでも楽しくなるのではないでしょうか。